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19年間の昏睡から目覚め、話し始める
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夕べはシェルビーが夕食に招待してくれた。手伝わせてくれなかったんでテレビを見ていた。最近のテレビって面白いんだね。僕はテレビを所有していないんで見るのは友達の家に遊びに行った時だけなんだけど、ディスカバリー・ヘルス・チャンネルというのに釘付けだったよ。

この番組で取り上げられていたテリー・ウォリス(terry wallis)という人は、自動車事故で19年間も昏睡状態だったのに、そこから目覚めて、今は何とか話もできる。

彼は1984年(19歳の時)に自動車事故に遭い、昏睡状態(coma)に陥った。昏睡状態は4週間が一つの判断時期らしい。その時点での状態がその後の人生もずっと続くことが多いらしい。3種類の状態があって、目覚める人(emergence)、植物状態の人(vegetativeつまり昏睡状態が続く人)、そして死ぬ人。この時点で植物人間状態だと、その後に目覚める確率は2%しかないそうだ。

彼は昏睡状態が続いた。それでも母親はいつかは彼が起きることを信じて、2週間毎に養護施設を訪れ、自宅に連れ帰って話し掛けてあげたりしていた。そして2003年のある日、彼は話し始める。
養護士が「誰が訪問したの?」と彼に聞いてみると、彼は声を発したのだ。「ママ」と。母親は「私はその場に崩れ落ちそうになった」(I like to fell over.)と語ったが、これは文法が間違ってますよ、奥さん。アメリカ人のくせに。ぷぷっ。

夕べのテレビでは語られていなかったんだけど、今こうしてCNNの当時のニュースを読むと、彼は単語をほとんど忘れかけていたみたいだな。「ペプシ」とか「ダッド(dad)」などの単語を覚えていったと書いてある。19年も使ってなかった言葉なら当然、記憶の関連付けも薄れてしまってるだろうから当然だろうなぁ。でも昔覚えていたことならそこからの言葉の回復は早いのだろう。

回復しないものもある。重大な自動車事故のほとんどに見られるように、彼も前頭葉(frontal lobe)が壊れている。その為に、体を動かせない、唇も巧く操れないので言葉も巧く話せていない。それに新しい記憶を長期記憶に入れられないので、彼の記憶は19年前のままだ。19年前に生まれた娘のことを何度話しても、覚えて置けない。更に人格も変わってしまっていて、若い女には「ヤらせろ」などと言っている、養護士にも、実の娘にも(彼は認識できていないのだろうが)。

このテレビ番組を見て、心理学がどう貢献できるかを考えてみたよ。

まず、大きな自動車事故の負傷者がほぼ前頭葉に障害を負うことに付いて。これは頭が前方に揺すられてフロントガラスかシートベルトに動きを止められるから、頭の内部にある脳の前方が潰れちゃうんだよな。ならいっそのこと、頭が前方に揺すられたその慣性の動きを無理に止めなければ脳は無事だろう。事故で車が止まる瞬間に乗っている人はバンジーみたいにびよーんと車外に排出されれば脳は事無きを得るのではないだろうか。

あと、昏睡状態に陥ったら、脳のダメージを見ることでその患者が最大限どこまで回復できるかをある程度予測ができるんだろうな。現代では否定的な応用例を思い付いてしまうけれど、将来的には、短期記憶が働けば、それを長期記憶に移行させる代替器官というのは実現可能な科学になると僕は思っている。この辺の科学的な話はまた別の機会に。

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引用したニュース:CNN:Man speaks after 19-year silence 2003年

検索キーワード:心理学、生物心理学、神経科学、神経認知心理学、認知心理学、知覚心理学、コーマ、テリー・ウォリス、discovery health channel, STM short term memory, LTM, long term memroy, momento,
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