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遺伝子が決めるあなたの記憶保持能力
parasuramanresults.jpg

作動記憶(ワーキング・メモリー)の一つの能力は、記憶を一時的に保持することで、言わばパソコンのメモリ容量のようなものだ。作業記憶の記憶保持能力が低いと一度に少しの量しか覚えて置けない、または一度に少しの量しか情報を処理できない。

この研究によると、作動記憶の記憶保持能力の個人差は遺伝子によってあらかじめ、ある程度決められてしまっているらしい。

作動記憶の能力を決めるものの一つは前頭前野のドーパミンだという。そのドーパミンに作用する遺伝子の違いで作動記憶の能力に差があるかをこの研究者は実験で測った。具体的に言うと第9染色体上にあるG444AだかDBH遺伝子(ドーパミン・ベータ・ヒドロキシラーゼ遺伝子)だかの違いを調べたらしい。この辺の単語はまだ僕が勉強してない分野なんでこれから勉強していかないとなぁ。

この遺伝子の組み合わせは3種類あってAAかAGかGGだそうなんだが、これが綺麗に作動記憶の結果に現れている。図に示した通り、GGのタイプの遺伝子を持つ人たちの作動記憶の結果が突出して良かった。(緑とオレンジの結果に限る。)

実験を細かく見る。103人の健康な人の遺伝子を見た。G444Aの遺伝子型はAAが17人、AGが39人、GGが47人だった。実験はコンピューター画面の点の位置の記憶保持を使って行われた。
experiment2.jpg

図が示すように、被験者は画面2のように3つのドットを見る。その後、画面4のように1つのドットを見て、このドットが画面2のドットの一つであるか、全く違う位置のドットかを答える。難易度(メモリー・ロード)が3段階あり簡単なのは画面2のドットが1つだけ。これが2つ、3つとなるにつれ難しくなる。

ドットが一つの場合(青い線)は結果に差はない。どの遺伝子型でも正答率が高い。しかしドットが2つの場合(オレンジの線:難易度は中くらい)とドットが3つの場合(緑の線:難易度は高い)はGG遺伝子型の結果が最も良く、AG型はまあまあで、AA型の結果は悪い。

この結果からこの研究者はこの特定の遺伝子が作動記憶の記憶保持に影響を与えていると結論している。尚、作動記憶に影響を与える要因は数多くあり、遺伝的なものと育ち(または教育)などがある。この研究者は遺伝的なものの一つを特定したことになるが、今後、他の遺伝子が作動記憶に与える影響も研究していくそうだ。

非常に面白い結果だね。心理学者というのは事象を見るのが主たる研究だ。事象というのは人がどのくらいの能力があるかなど。それを遺伝子と結びつけるのは新しい研究分野で、実際にこうして相関関係が示されているのには驚きだ。統計的有意さは0.05以下なものの、エフェクト・サイズは0.25とまだ小さい。今後に他の要因を見つけていって、回帰分析などしていくともっと説得力が高まるだろう。もし僕が今、大学に入学して一から学ぶとしたらこの分野を選ぶだろうな、と思うくらい興味深い分野だよ。

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パラスラマン博士が共著した本。SDTの項目は詳細ですばらしい。

D. Davies

The Psychology of Vigilance



元の論文:Raja Parasuraman,1 Pamela M. Greenwood,1 Reshma Kumar,1 and John Fossella. George Mason University and 2Weill Medical College. (2005) Beyond Heritability. Neurotransmitter Genes Differentially Modulate Visuospatial Attention and Working Memory. PSYCHOLOGICAL SCIENCE. 2005. March. Volume 16. Number 3. p.200-207. (PDF)

検索キーワード:心理学 生物心理学 神経心理学 神経科学 genotype phenotype、cognitive neuroscience, 認知神経科学、NeuroErgonomics, regression analysis, working memory, p, probalibity, effect size, f-test, 認知心理学、ワーキング・メモリー、ラジャ・パラスラマン、
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コメント
この記事へのコメント
この記事、本当に面白かったです。ワーキング・メモリーは非常に個人差が大きい能力のひとつですよね。そのため、「暗記力=頭の良し悪し」と解釈されやすい面も。でも「短距離走が早い=他の面でも身体能力が高い」とは言い切れない部分があるように、これこそ個人の個性という気がします。記憶と、思考は違うわけですものね。でも、こうした特殊な能力が高い人は、嫉妬されやすい。人類全体の財産としてその才能を伸ばし、、それを必要とする適職で生かす必要があり、決して逆差別的に扱ってはいけないですよね。こうしたことが、もっとフランクに語れるようになるといいですね。
2005/10/06(木) 13:21:46 | URL | 小枝 #qbIq4rIg[ 編集]
小枝さん、コメントありがとうございます。
小枝さん、僕もこの論文はとても面白いと思いました。今年読んだ何百もの論文の中でも最も面白い論文の一つです。
うん、確かにワーキング・メモリーの優れた人って区別されて見られてますね。これってビデオゲームの巧さとかでも測れるのかな、全然関係ないけど突然そんなことを考えました。優れた点のある人はそれを早くに知れれば人生をもっとうまく運べるかもしれないですね。この分野の研究の楽しみがまた一つ増えました。
2005/10/07(金) 06:07:45 | URL | 綺麗山 #-[ 編集]
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