
60歳を過ぎると脳が萎縮しだす。これは一般に見られる老化の症状で、特に病気という訳ではない。この研究者はこの老化に伴う脳の萎縮は脳活動に特に影響しないと主張している。つまり脳が萎縮しても、考えたり学んだりする能力は維持できていた。
この研究以前では、脳の萎縮は記憶力の低下や思考の低下をもたらすと考えられていたし、そういった実験データも出ていた。また、脳が萎縮しても、青年期に教育を長く受けていた人には脳活動低下の影響が少ないとされてきていた(過去記事を参照、と思ったけど見つからないな。紹介してなかったっけか)。
過去の研究結果に反して、今回の実験では脳の萎縮と脳活動の低下の関係は見られなかった。446人の60代の脳を調べたところ、確かに64歳の脳は60歳の脳よりも小さかった(萎縮が見られた)。しかし脳の認知活動、記憶、注意力、処理速度などは維持されていた。
へぇえ。ではなんで以前の研究では脳萎縮で脳活動が低下したんだろう?今後の解明が待たれるね。
この研究は他にもいろいろと見つけている。大人になっての鬱病は子供の頃の逆境との強い相関関係が見つかった。他の鬱病との相関関係が強い要素は、母親の鬱病、怠慢な躾、過度の体罰、情愛に欠けた父親、そして家庭不和だった。
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元のニュース:ANU Media release: Shrinking brains but healthy memory - does brain matter matter?
研究者:Helen Christensen (Australian National University. Centre for Mental Health Research)
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