
統合失調症の症状を抑えるのに現在最も使われている手段は薬だ。1955年以前は電気ショック療法しかなかったが、その後、いろいろな薬が開発されている。
1990年代の初頭に開発された新薬「ジプレキサ Zyprexa」、「セロクエル Seroquel」などが登場する。新薬は値段が以前の統合失調症の薬に比べて10倍と高価ながら、副作用が少ないという売れこみのために人気がある。
しかし薬の効果というのは薬を開発した会社の実験によるもののみが根拠で、当然それは公平性に欠ける。そこでアメリカ政府は約43億円($43M)を出資し、これらの薬を含む新薬の試験をした。
5種類の薬を試験した。4つは新薬で、1つは旧薬(トリラフォン, Trilafon)。1460人の慢性的な患者を18ヶ月に渡り調査した。5つの薬はどれも同じくらい効果的だった。適度な処方量の場合は旧薬も新薬も同じ(症状を低減する)効果を発揮した。
ただし副作用では新薬と旧薬で差があった。旧薬では、震え、筋肉の硬化や痙攣など。新薬ではこれらの症状は目立たないものの、体重の増加、血糖値の上昇、コレステロールの上昇などが見られた。
そして5つの薬とも(新薬も旧薬も)患者を満足させなかった。75%の患者は治療を止めてしまった。その理由は症状が改善されない、または副作用のため。
ふーん、新薬はそれなりに旧薬よりは副作用が許容されやすいものになってるんだな。これは論文を読んで数値の差をはっきりと比べてみたいね。ちなみに引用元はこの雑誌。Scientific American Mind:
一部をネットで読める。Schizophrenia Drugs Questioned
ところで薬の効果を開発した会社が試験するというのは確かに信頼できないよな。そのへんはこの本に詳しく書いてある。この本はそのうちに詳しく紹介したい。
- Elliot S., Ph.D. Valenstein
- Blaming the Brain: The Truth About Drugs and Mental Health
--------------
検索キーワード:心理学、臨床心理、clinical psychology, Donald F Klein, Columbia university, zyprexa, seroquel, 精神分裂病、schizophrenia drugs, Jeffrey A Lieberman, prozac,
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)