
肥満であること、または喫煙していることは年を取るのをより早めるという研究結果が発表された。
以前、テロメアという寿命を示唆する遺伝子の話を紹介した。この研究者はテロメアの長さと生活習慣を調べて、ある生活習慣がどのくらいテロメアの長さに影響を与えていたかをみた。
1122人のイギリスの女性(18歳~76歳)のうち約一割(120人)が肥満だった。彼女達のテロメアは短く、寿命に換算すると8.8年分短かった。喫煙者(203人)と過去に喫煙していた者は4.6年分短かった。つまり喫煙者は遺伝子的に4年以上も余計に年を取っていた。
興味深いけれど、ちょっと不親切なニュース(または研究)だな。もっと細かく伝えてくれれば良いのに。現在も喫煙している人と過去に喫煙していた人では違いは無いのか?
それはともかく、こういう数値がハッキリしたニュースは良いね。煙草は害があると言われてきていても、じゃあどうなるのかを説明しにくかった。数値で寿命が平均で4~5年縮むんだよ、と言えれば説得力が増すだろう。これで禁煙の効果も数値で出せれば、人をもっと禁煙の方向に導けるかと思う。
元のニュース:BBC News: Smoking and obesity 'age people'
研究者:Tim Spector (St Thomas' Hospital, London)
検索キーワード:心理学 双子 煙草 タバコ たばこ 染色体 twin telomere DNA smoker ex-smoker

39カ国の血液型ごとの人口と自殺率を比べたところ、O型の人口が多い国ほど劇的に自殺率が低く、B型の人口が多いほどその国の自殺率が高かった。
同様の結果が何回もの統計で繰り返し出されている。例えばヨーロッパの国29カ国の男性の血液型別人口と自殺率の関係はO型でマイナス0.38(Pearson r)。つまりO型の男性人口が多い国ほど男性の自殺率が低い。逆にB型だと正負が入れ替わりプラス0.69。B型の男性が多い国ほど自殺率が高い。女性は効果が少ないものの同様の傾向を示した。
ヨーロッパ以外の国10カ国(韓国、タイ、中国など)も傾向は同じだ。男性のO型でマイナス0.53。B型でプラス0.48。O型はどのデータ群でも常に負の相関関係(その血液型の人口が多いほど国全体の自殺率が低い)があり、A型はその半分くらいの負の相関関係。B型とAB型はデータ群によりまちまちだが概ね正の相関関係があった。ただし、このヨーロッパ以外の10カ国では最強(最悪)の血液型はAB型で相関指数はプラス0.77だった。高いねー。
統計のデータでここまで違いが表れるのなんて今まで見たこと無いくらいにくっきりした結果だな。こんなに高いr(相関指数)で正と負が変わるほどなんてすごい統計結果だ。
このデータを単純に翻訳すれば、O型の人は自殺しにくい、または周りの人を自殺させない。B型の人は自殺しやすい、または周りの人を自殺させる、となる。
でも統計結果が信じられないくらいに強い相関関係を示しているんで、かえって疑ってしまうよ。もう少し他の研究者が結果を出すのを待とう。ちなみに僕はO型。なんで何ら疚しいところは無いけどね。
元の論文:Martin Voracek (University of Vienna) Suicide rate and blood groups: An ecological study of 39 nations. Perceptual and motor skills, 204, 99. 896-898.
検索キーワード: 心理学 血液型 性格心理学 ABO式 blood types suicide rate european nations non-european south korea thailand china negative correlation population

ポルノ映像を見た後の男性の精子は生殖力が高かった。この効果はポルノの中でも男女が共に出演しているものでしか確認されておらず、女優だけが出演するポルノでは効果は見られなかった。
この進化生物学者はポルノ俳優の性別により、それを視聴した男性の射精する精子に変化があるかを調べた。
52人の男性(18~35歳)にポルノを見て自慰をしてもらい、精子の量と精子の活きの良さを調べる、と言う実験方法が取られた。精子のいきの良さ、というのは精子がどのくらい速く動けるか、泳げるか、ということで、それはつまり生殖力と相関しているらしい。
これによると、男優と女優が共に出演するポルノの方が精子の量も多く、精子の質(生殖力)も高かった。女優だけのポルノと比べて。この研究者の説によると、他に競合する男性(ビデオの中だけど)がいるという無意識下の認識が精子をより競争に耐えうる、量と質の高いものにするという。そうやって自分の遺伝子をより生殖させようとする男性の性質だと言う。
すごい実験だな。進化系の学問でもこうやって実験データが出るのは(昨日紹介した記事とは違って)伝統的な科学として説得力があるよ。でも驚愕の結果だ。女の子だけのポルノじゃ駄目なのか。どっちでも同じくらい興奮すると思うんだが。
今後の研究としてこの研究者は、この効果が男女の絡み合いの視聴から来ているのか競合男性単独から来ているのかを調べると言う。つまり男性単独の映像を見せての精子のサンプルを取るのだろう。えええ??どうやって興奮するの?説明要因を絞り込むと言うのはとても科学っぽいんだが、それはあまりにも被験者が可哀想じゃなくなくない?倫理に違反、というか紳士精神と言うか何かが間違っているよ。何かが。
元のニュース:New Scientist: Rivals spur men to produce better sperm
研究者:Leigh Simmons (Univeristy of Western Australia)
検索キーワード:心理学 生物学 進化心理学 妊娠 着床 精子 アダルト・ビデオ porn sperm evolution 動物学 オーストラリア

チェスは男性の方が得手としている。何を今更、という感じのニュースだな。ま、一応、紹介しておくよ。
この研究者はチェスの上手さに男女差があるかを調べた。トーナメントの過去20年の歴史を調べ、男女の参加人数と順位を比較した。そして男の上位10人、女の上位10人などを比較した。それによると、女性がこれだけ社会進出してきている世の中なのに、チェスの上手さでは女性は劣ったままだと言う。
そしてこの研究者はこの男女差は生まれながらのものだとしている。ええ?なんでそう結論できるんだ?多分それは事実で、生まれながらに男女の差はあるだろうし、チェスの上手さにも繋がってくるだろう。でもチェスの過去の成績を見ただけで、生まれながらの男女の違いによるゆえ、と言うのは強引だろう。
この研究者は進化心理学と結び付けているけれど、進化心理学っていいように名前だけ使われているよな。進化心理学は主に現象だけ見て理由を後付けで当てはめている学問だ。なので心理学者の多くは進化心理学を科学的な根拠のある学問とは認めていない。このニュースも進化心理学の評価を落とすのに貢献しているよ。
まぁ、男女差は体や脳で確実にあるのだから、将棋や碁のように男女別のトーナメントをやるのに僕は賛成です。
画像は女性の中でチェスが最も上手い人たち。こういう頭の良さそうな顔ってとってもかわいいよな。
元のニュース:Yahoo News:
Men better at chess than women, reveals study
検索キーワード: 心理学 大脳 男女差 脳差 性別 性差

その日に運動した分しかテレビの電源が入らない、そんな装置が開発された。
テレビの弊害はよく言われている。肥満になる、目が悪くなる、受身的な志向になる、勉強時間が減る、将来暴力的になる、などなど。しかし現実にテレビを見ないようにするのは難しいし、子供にテレビを見せないようにするのも難しい。
そこで開発されたのが万歩計連動テレビ電源。歩数を数える装置は靴の中敷に組み込まれていて、その歩数データをテレビ電源に送ることによりテレビを視聴できる。100歩で1分の視聴に値する。
女の子は一日12000歩、男子は15000歩を最低は歩くのが良いとされている。そしてテレビは一日2時間以内しか見るべきでないとされている。それら両方の基準を充たすべく設定された数値。100歩で1分。
コロンブスの卵的な発想だね。誰でも考えられそうな合併案。運動した分だけテレビが見れる。でも何故かいままでそんな商品は発売されてなかった。健康的な人が増えるのならこういう規制は大歓迎。ただし、これはデザイン科の生徒が作った装置で、それの効果を示す心理学的データなどはまだ取られていないし、今後も多分取られないだろう。
ところで何千歩ってどう発音しますか?1000Po(ポ),2000Po、3000Po、4000Ho,5000Po,6000Po,7000Ho,8000Po,9000Ho。なんで語尾が変わるんだろう?大抵はPoで良いのに4千だけはPoに違和感がある。それに7千と9千はHoの方が語呂が良い。ルールを見つけられない。くやしいな、こういう規則を見つけるのは得意なはずなんだけどな。
元のニュース:BBC News: Shoe kick-starts active lifestyle
検索キーワード: 心理学 肥満 obese obesity 運動 テレビ カウチ・ポテト

60歳を過ぎると脳が萎縮しだす。これは一般に見られる老化の症状で、特に病気という訳ではない。この研究者はこの老化に伴う脳の萎縮は脳活動に特に影響しないと主張している。つまり脳が萎縮しても、考えたり学んだりする能力は維持できていた。
この研究以前では、脳の萎縮は記憶力の低下や思考の低下をもたらすと考えられていたし、そういった実験データも出ていた。また、脳が萎縮しても、青年期に教育を長く受けていた人には脳活動低下の影響が少ないとされてきていた(過去記事を参照、と思ったけど見つからないな。紹介してなかったっけか)。
過去の研究結果に反して、今回の実験では脳の萎縮と脳活動の低下の関係は見られなかった。446人の60代の脳を調べたところ、確かに64歳の脳は60歳の脳よりも小さかった(萎縮が見られた)。しかし脳の認知活動、記憶、注意力、処理速度などは維持されていた。
へぇえ。ではなんで以前の研究では脳萎縮で脳活動が低下したんだろう?今後の解明が待たれるね。
この研究は他にもいろいろと見つけている。大人になっての鬱病は子供の頃の逆境との強い相関関係が見つかった。他の鬱病との相関関係が強い要素は、母親の鬱病、怠慢な躾、過度の体罰、情愛に欠けた父親、そして家庭不和だった。
盛りだくさんのニュースで面白い。もっと読んでみたいな。研究者に論文を請求中です。
元のニュース:ANU Media release: Shrinking brains but healthy memory - does brain matter matter?
研究者:Helen Christensen (Australian National University. Centre for Mental Health Research)
検索キーワード:心理学 老人学 発達心理学 性格心理学 認知心理学 認知症 痴呆症 認知能力 老化

音楽は気分を落ち着けるのに役立つと言われているが、心臓手術の際の気持ちを鎮めるのにも役立ったと言う。
この研究者は100人の患者に対して、音楽が手術時の鎮静剤(麻酔)の量に変化を及ぼすかを調べた。医療の事はよく分からないけれど、少ない麻酔の量で感覚消失状態になれば、それはより落ち着いていたと言う事になるのだろう。
この実験によると、好きな音楽をヘッドホンで聴いていた時には麻酔の量が少なくてすんだ。手術室の音をじかに聴いていた時を基準にすると、ヘッドホンからホワイトノイズ(白色雑音:他の音を聴こえなくする効果がある、つまり手術室の緊張した音を聞こえなくする)を聞かせた時には麻酔の量は変わりが無かった。よって、好きな音楽を聴いたことが麻酔の量を減らしたのだろう。
こういう世の中に役立つ研究は良いね。目的もハッキリしているし。次はどんな種類の音楽が気持ちを鎮めるか。または手術以外のどんな用途で音楽が役立つか。例えば眠るのに最適の音楽は、なんてことが研究されると面白そうだな。
元のニュース:Science Daily: Study finds music helps surgery patients
研究者:Zeev Kain (Yale School of Medicine)
検索キーワード: 心理学 音楽心理学

アメリカでの喫煙率が2年連続で低下している。2001年に22.8%の大人が煙草を吸っていたが、2002年には22.5%に低下。更に2003年には21.6%にまで低下した。
嬉しいニュースだね。最近の喫煙率が減っている理由はいろいろある。喫煙の害の広告の成果、喫煙できる場所が少なくなっている、喫煙する人は好かれない(たしか心理学のデータが手元にあったような)、など多々の理由が効果を表しているのはとても歓迎できる。
喫煙以外にもこういった社会的な制限による体調管理というのは広がって良いと思う。例えばゲームやテレビの制限。肥満の過食の制限なども社会的にできる時代が来ないかな。
元のニュース:MediLexicon: Smoking among US adults down to 21.6 per cent, from 22.5 per cent

アメリカでコンピューターを日常的に使う人口は7千5百万人もいる。その半数が長時間使用による疲れをうったえていると言う。それは目の疲れ、目のかすみ、目の乾き、頭痛など。これらはCVS(コンピューターによる視覚疲労:computer vision syndrome)と呼ばれている。
この研究者が勧める症状の軽減方法は、姿勢と目薬と眼鏡だ。姿勢として、座る位置はモニターから60cm、モニターは目線より10cm~20cm下。ときどき人口涙液(普通の目薬か?)を点して、コンピューター用の眼鏡を掛けることだそうだ。
僕も一日平均4時間くらいはコンピューターを使っていて、目が疲れる。本を読むのとは違って、コンピューターやテレビを見るのって本当に目が疲れるんだよね。まばたきも減るし。姿勢はばっちりなんで、目薬は試してみよう。ちなみに3つ目に挙げられている眼鏡というのは、中距離用だそうだ。近視用と遠視用の中間。眼鏡って距離でそんなに使えなくなっちゃうもんなんだな。
このニュースには書いてないけど、まばたきや休息を意識的にすることも大事ってよく言うよな。僕らも心理学の研究で被験者にモニターを見続けるような動作をお願いすることがあるんで気を付けよう。
元のニュース:MediLexicon: Over half USA's regular computer users experience eyestrain, headaches and more

識字障害(dyslexia)とはつまり文字を読むのに難があること。トム・クルーズ(写真)も識字障害があると言われている。どうやって台本を読んだり台詞を覚えるんだろうね。
識字障害のメカニズムは従来、文字を素早く認識するのに障害があるために文字を読めないと言われてきた。しかしこの研究によると、文字を読みやすい環境下では識字障害者も視覚認識を滞りなく行えたと言う。
文字を読みやすい環境とは①視覚ノイズが無い(文字だけが表示される)、それと②明暗感度がハッキリしている(過去記事参照)。
上記の条件の整った文字を読みやすい環境下で、ある視覚パターンを認識する実験を行った。すると、文字認識の成績は識字障害者も健常者も同じ成績であった。対照的に、文字が読みにくい環境(つまり視覚ノイズがあって文字が際立っていない環境)では識字障害が表面化して、識字障害者は視覚パターンを認識する成績が悪かった。
このことからこの研究者は識字障害の理由を、視覚ノイズを無視できないからだ、としている。
こういう研究は大好き。障害やハンディキャップの原因を解明して、それにより克服法を示唆している。つまり読みやすい環境を整えれば識字障害があっても普通に読める可能性がある。例えばRSVP(高速連続表示法RAPID SERIAL VISUAL PRESENTATION:つまりコンピューター上で文を読む際に、一単語ずつを高速で順番に表示する読み方)とかなら視覚ノイズの要素が少ないので読みやすいかもしれない。楽しみな研究分野です。
元のニュース:Anne Sperling (University of South California)

アメリカ人はベジタリアン(菜食主義者)が多い。その中でもビーガンという極端な菜食主義者がいる。ベーガンと言うのは素材から全てが植物系しか食べない人。原料100%菜食主義者とでも言おうか。チーズや牛乳は動物から取れるので食べない。彼等に言わせると乳を絞る時に牛に痛みを負わせる。そんな食品はいただけない、と言う。この根拠は食物連鎖を否定してないか?
という僕の個人的意見をよそに、実は動物の傷みって意外と重要視されているみたいだな。昨日のニュースによると、ヨーロッパでは食品のラベルに「動物安楽商品」(animal welfare)などと書かれているらしい。これの意味するところは動物の健康、動物の気持ちなどを配慮している商品だそうだ。
こういった食品のラベルの研究者に言わせると、こんにち、食品の質を決めるのはその内容や安全性などの他に、その食品がどうやって動物から搾取されたかを示すラベルによるのだ、とのこと。
動物の傷みとか、それに配慮したくなる人間の心理とか、いろいろ心理学が絡んでくる分野ですな。今後関連記事があったら報告していきます。
元のニュース:Science Daily
研究者:Jonathan Murdoch and Emma Roe (Cardiff University)

ソニーの未来のゲーム機では感覚器官に頼らずに脳と直接情報のやり取りができるかもしれない。現在ゲームには視覚と聴覚が使われているが、脳を直接刺激することにより全ての感覚を使ったゲームが開発されるかもしれない。
数年前(2000年?)にPS2(プレイステイション2)の宣伝の一環でPS9の映像を見た方も多いと思う。この動画によるとPS9では仮想現実(バーチャル・リアリティー)みたいなことを直接的に脳で感じる(テレビスクリーンで見るのではなく)ことができるようになっている、という将来像だ。ソニーはこれを実現するために脳を研究しているそうだ。
科学雑誌の記事によると、信号で脳を刺激して疑似体験を脳に経験させることをソニーは目指しているらしい。この刺激により、目が物体やスクリーンを見なくても、脳には何かを見たように感じる。同じように、音、匂い、味、それに触った感覚も脳は体験できる。
電極などを脳に挿すのではなく、外部から刺激する。記事には書いていないけれど多分、頭に被ったヘルメットのようなものから信号を出すのだろう。外部から電極を挿さずに脳を刺激するには2種類あって磁場を作る方法と超音波を使う方法。超音波の方が細かい刺激を作り出せるので、ソニーは超音波刺激を研究しているとのこと。
心理学の研究ではまだそんな未来の研究はされていない。でも理論的には可能だろう。脳に刺激を与えれば疑似体験をするのは本当だ。十年や二十年でできるものではないだろうけれど、とても面白い研究だと思う。期待しているよ。
元の記事:New Scientist. April 2005, Arpil 9. p.10.
PS9の宣伝動画

週末はエミリーちゃんとデート(と言っても向こうからの恋愛感情は無し。悲)でクラッシュという映画を見てきた。なんか映画界の時代が変わりつつあるのを感じたよ。一言で言えば、気分の良くなる映画が売れる映画時代の幕開け。
大筋のストーリーが取り立ててうならせるものではないのに、細かいことで因果応報に完結していると、映画としての評価や見た後の感じが良くなるんだな。
複数の話が並行して進み、最後の方で全ての話が絡み合う。並行する話はそれぞれの人種の話だ。白人上流階級、黒人上流階級、横暴警察、低所得家庭、黒人ギャング、中国人、ペルシア人、など。
それぞれの人たちの行動は自身の未来に跳ね返ってくる。良いことをされた人はそれを伝播していき、良い事をした本人にも良い未来として反映されてくる。悪いことも然り。
因果応報を繰り返すという今まで映画ではあまり見られなかった手法で、映画を見た後の気分が良くなる。こういう映画を見て、もっと良い行いをしようと思う人が増えていけばいいな。ちなみに映画には因果応報とはみえない驚きも幾つかあって面白かったよ。
クラッシュ(Crash)映画評:Roger Ebert. Movie ReviewsからMovie Trailerの下をクリックで予告を見れます。
出演:サンドラ・ブロック、マット・ディロン、ブレンダン・フレイザー

笑顔が本物か作り笑顔か当てるテスト。僕の正答率は75%でした。動画なのでけっこう当てられるもんだな。今回のテストではアジア人辺りから自分の頭が混乱してきたよ。でも訓練すれば正答率はすぐに9割くらいには行くと思う。
これをやって、映画「交渉人」のサミュエル・エル・ジャクソンの言葉を思い出したよ。目の動きがポイントだと言っていたけれど、あれは本当なんだろうか。
テスト: BBC - Science & Nature - Human Body and Mind - Spot The Fake Smile

サブリミナル、つまり意識的に気付かない状態でも、人の表情は僕らに影響を与えているようだ。
この研究では、飲み物を飲む直前にサブリミナル映像を見せた。サブリミナル映像は3種類あって、スマイル、無表情、怒り。これをほんの一瞬、被験者が気付かない程度のコンマゼロ何秒かだけ表示する。そしてすぐに無表情の顔の映像に切り替わる。そして被験者は飲み物を飲むように促される。
スマイルを見せられた時だけ被験者はより多く飲み物を飲んだ。また別の実験では、サブリミナルのスマイルを見た後では、飲み物に対してより多くの金額を払おうとした。怒りのサブリミナルを見た時には逆の反応を示した。尚、この効果はのどの渇いた被験者にしか有効ではなかった。喉が渇いていない被験者にはこのサブリミナルは効果が無かった。
この研究者が言うにはサブリミナル効果は現実に応用するのは難しいそうだ。なぜなら効果が続く時間がとても短い。この実験だと10秒くらいの効果だったのかな。それだと作動記憶(ワーキング・メモリー)として扱われているのだろうか。とにかく、テレビCMや選挙の投票で使うには効果が短すぎるとのこと。
それなら効果が長続きするように工夫すれば使えるってことかな。サブリミナル効果が利いているうちに「誰に投票しますか?」などと問い掛けて、その効果を意識化(又は長期記憶)に残せば、投票時まで効果を持続させられると思う。誰か実験しないかな。
元のニュース:Piotr Winkielman (University of California, San Diego)

テレビで暴力シーンを見ている子供は自分の行動を抑制したりすることに劣っていた。
この研究者は13歳から17歳の54人の子供を調べて、暴力シーンをテレビやゲームで見ることとその子達の行動や思考の関係を研究した。すると、暴力シーンをより見る子は自分の思考や行動をうまく抑制できなかった。
どっちが原因かわかんないけど、こりゃ悪循環だよな。暴力シーンを見るから行動を抑制できなくなるとすると、それでまたテレビを見ることを抑制できなくなる。抑制できない子がテレビを見るのだとすると、そこで暴力シーンを見てしまう。
こういう研究結果が繰り返し発表されているのだから、行政も耳を貸したらどうだろう。僕はある年齢(例えば21歳)までは強制的に特定のメディアを制限した方が良いと思う。例えば全てのテレビに身分証明カードを入れるところがあって年齢に満たないとある番組が見れない、とかね。
元のニュース:William Kronenberger (Indiana University)

身長に対する体重を示す肥満度指数(BMI:ボディ・マス・インデックス)が高い女性は、結婚する確率が低く、結婚できたとしても結婚相手の会社での地位が低かったり年収が低かったりした。
これは5000組の家族を対象に調べたところの結果。この相関関係は若い女性の方が顕著だった。このことより相関関係の因果の方向が推定できる。つまり肥満度指数が結婚の悪条件を導いているのだろう、と研究者は考察している。
そうだよな。男の方が見た目で相手を選ぶってよく言うもんな。肥満のコを選ばないのは納得。それにいくら最近の研究で肥満は遺伝によるところが大きいと言われても、やっぱり肥満は自己管理ができない表れと見てしまうよ。個人的には痩せ過ぎも好きじゃないけど。というか運動している女の若干過剰な肉付きが好きだ。上の写真くらいの女のコの肉付きはまだまだ魅力的の範疇でしょ?
元のニュース:Dalton Conley (New York University)

中学生の時に人気者というのは負の面もある。
185人の中学生を調べたところ、人気者には共通する点があった。良い面としては、彼等はより社交的で、友達や親との関係をうまくとりおこなえていた。
逆に悪い面としては、青年非行が多かったり、ドラッグをより使用していた。
この研究者が言うには、これは当然のことらしい。なぜなら、人気があるということは、つまり仲間内の基準にうまく適合できる能力が高いということ。それはひいては青年非行やドラッグ使用への誘いになりやすい。
ふーん、親の教育との関係はどうなんだろうね。子供としっかりと話していれば負の面を緩和できそうな気もするよ。
元のニュース:Science Daily

銃による犯罪を見た子供は、育った時に銃犯罪をより起こしやすい。
1500人の子供を何年にも渡り追跡調査し、犯罪を起こす要因を研究した。すると銃を見た経験というのが大きな要因であった。今までの通説で犯罪を起こす要因と言われていた他の要素は微々たる影響だった。これらの小さな影響の要素とは、貧困、ドラッグの使用、片親に育てられる、など。
テレビの悪影響と似た話だな。暴力シーンを見ると子供が暴力的になる、みたいな。
今週は忙しいんで、記事を斜め読み。細かいことを読んだ方はコメント欄まで。
元のニュース:Harvard Medical School
研修会というのは、僕ら研究者が技術者の人たちに会えるとっても有用な場。普段、僕等は研究ばかりしていて、その研究がどう使われるかなんて見る機会が無い。でもこの研修会では技術者達の働きぶりを観察できる。それを元に今後により良い技術を開発できるように考えたりできる。
今回の研修会を主催したのはうちのラボの僕を含めて5人の研究人だったんだけど、これが結構おいしい仕事だった。参加者100人くらいの中にはアメリカの政府関係者や数万人規模の大会社の副社長などもいたので、うちのラボを宣伝する良い機会だったし、実際に高評価を得た。こういった金の出どこ(研究のスポンサー)に好印象を与えることが、来年の僕ら大学院生の給料を作ることになっていく。
そんな将来のことよりも身近で嬉しかったのは高級レストランで飯が食えたことだな。普段はその日に腹を充たすものを食う金も無い生活をしているのに、この研修会期間中は高級レストランで肉を食える!しかも自腹じゃない。研修会ずっと続いてくれてもいいよ。僕の舌と胃は甘やかされてしまったので貧乏生活に戻るのが辛いだろうなぁ。

ジェスチャー(身振り)をしている時は話し言葉も滑らかだったという結果が出た。
この研究者が言うには、元来、ジェスチャーとは言葉が足りないのを補うものだとされてきた。しかしこの研究によると言葉がスムースに出てくるときの方がジェスチャーも多かったという結果になった。
2ヶ国語をほぼ完璧に喋る子供に同じ話をそれぞれの言語で話させた。同じ内容なのでジェスチャーも同じかと思われたが結果は違った。第一言語(その子にとってより強い方の言語)で話している時の方がジェスチャーが多かった。
この研究者は身振りが記憶や言語と関わっていると考えている。その身振りをすることによって、関連した記憶や言語を呼び起こせると考えている。
ルンゲ警部ってのがモンスター(浦澤直樹原作)に出てくる。彼が情報を頭にインプットする時に空気タイプするのって結構、理に適ってんのかもね。
そう言えば心理学の実験で蛍光マーカーで引くよりも、ペンで文字を書き写した方がより覚える、って結果があったな(そのうち紹介予定)。ルンゲ警部には進化してもらって空気筆記を身に付けてもらいたいですな。
元のニュース:
Dr. Elena Nicoladis (University of Alberta)

日本語のラ行の音がダ行に聴こえるようになっちゃったんだけど、そんなことされても困る。
日本に行ったことのあるアメリカ人によると、英語を話す人にとって日本語のラ行は英語のDの音に聴こえるらしい。そんな話を昔アメリカ人が話していた。
アメリカに来て数年、僕の耳もいつの間にかDの域に突入していたことが先週、判明してちょっとショック。僕の日本語はもう完璧じゃないんだな。さみしいよ。かなり本気で。
読み書きは大丈夫なんだよね。普段からインターネットで日本語を読んでるし、最近はブログを始めたんで書くようにもなったし。でも、日本人が話す純正の日本語を聞く機会なんて年に5日くらいしかないもんな。
そんな日本語隔離生活から一転して、最近、日本の番組「モンスター」を見始めました。話し手によっては全てのラ行音をDの音で発音してるんだよ。特に「ご覧のスポンサー」って言ってる女。おまえの発音は確実に「ゴダン」に聴こえているぞ!毎回毎回だ。あと男の声で「ある」ってのが「アドゥ」って聴こえる発音の奴が一人いて、とても間抜けだ。
あと何年かしたらあの発音も聞き分けられなくなっちゃうのかな。どの発音だったか忘れたけど、アメリカ人が聞き分けられない日本語の発音があるんだよね。「ジュ」と「ズ」だったかな。日本語ぺらぺらのアメリカ人が3人くらい集まって「絶対同じだよ~」って日本語で言ってた印象が強烈過ぎて何の発音だかを忘れてしまったよ。情報待つ。

浦澤直樹氏原作の「Monster」(モンスター)をぶっちぎりで見続けています。面白いね、これ。背景の心理学のテーマがしっかりしているんで楽しんでます。
最初はジェニーちゃんに日本語を教えるという名目で一緒に見ながら日本語の表現や英語の字幕との違いを説明したりしてた。でももう僕個人の趣味として見てます。
ジャンルとしては、マスター・キートン風の一つの繋がりのある事件を長年かけて解明していく感じ。裏に流れる心理学のテーマとしては、子供は育つ環境で人格が形成される、というのが大きく流れている。人の残酷な面ばかり見て育った子達が残酷な大人になってしまったりする。
難を言えば長いよ。30分x50話(何話あんのか知らないけど)の単純計算で25時間!ま、そんな都合で、英語の字幕を読むのは止めて、心理学の論文を読みながら片手間で聞くのみ。そんな視聴方法です。ごめんよ、ジェニー。