バナー広告とはウェブ上の広告で、例えばサンスポのホームページなどの大きなスペースに表示される広告などの総称だ。これだけ大きな公告ではあるが、それが人目に付きやすいとは一概に言えないようだ。
この研究者はバナー広告のように大きなスペースをとって大きな文字で書かれているものがどのくらい無視されるかを調べた。20代と30代の6人の被験者に協力してもらった。下記のようなホテルのウェブで、24の情報を調べる。例えばホテルの電子メール・アドレスを調べるなど。24の情報のうち、20の情報は青い文字をクリックすれば目的にたどり着ける。残りの4つの情報は赤い四角の中の文字をクリックしなければ目的の情報にたどり着けなかった。

結果、青文字から情報へ行くのの成功率は94%だったのに対し、赤い四角から情報へ行く方の成功率はたったの58%だった。被験者の数名は赤い四角の中の文字を全く読みもせず、情報の獲得に失敗していた。
この例は、赤い巨大な四角の中の大きな文字は見過ごされやすいことを示している。この現象はこの特定の状況に限らず、巨大な文字では往々に起こることらしい。他の色にするなど、条件を変えても。
これをバナー広告に見立てて、バナー広告は無視されやすい、というのが結論だ。この研究者は、大きい文字などは大概が広告だ、ということを人は学習してしまっているので無視するのが一つの要因だとしている。こういった学習的な無視の他にも、大きい文字が無視されやすい特性があるのかもしれないとしている。
大き過ぎる物って目に入らないよな。僕の体験では、ソフトウェアをどのサイズでインストールかを選ぶ時などのでっかいボタン(下の画像みたいの)が最初は見つけられなかったよ。ボタンが大き過ぎる。あと文字もクリックができるようにしてくれれば良いのに。この辺はメンタル・モデルを考慮するのが大事だな。

あとウェブ上の広告の場合は、母数(見る人の数)が大きいんで、半数くらいが広告に気付かなくても、それでも宣伝効果は十分に大きい。ウェブの広告に関しては、今後、その宣伝効果、ポップ・アップ広告、フローティング広告(記事上に埋め込まれた広告)、それらをアニメーションにした時の効果などを紹介していくつもりです。
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元の記事:Banner Blindness: Web Searchers Often Miss "Obvious" Links
検索キーワード:心理学、認知心理学、ウェブ・デザイン心理学、ウェブ心理学、ソフトウェア心理学、Jan Panero Benway, David M. Lane , Rice University、pop-up ad, banner ad, floating ad, advertisement,

ウェブサイトやブログの人気の高さを知る方法として最も使われているのは訪問者累計数だ。しかし読者の興味の高さを知りたいのならば、訪問者の滞在時間を調べた方が良いのかもしれない。
この論文によると、被験者にネットでニュースを読んでもらい興味深さを評価してもらった。すると、興味深さの評価とニュースを読む時間の間に強い相関関係が認められた。なので、ウェブやブログの人気の高さを測りたいのならば、読んでいる時間を計るのが一つの方法ということになる。現実的には読んでいる時間というのは計れないので、そのページを表示している時間を計ることになるだろう。
更に統計方法を加味して考えると、表示時間の計り方でもメディアン(中央値)に訪問人数を掛けた数がそのページに対する興味の高さをより忠実に表すだろう。平均値だと、誰か一人が一日中そのページを開いているだけで大幅に変わってしまうので、それは良い計り方ではない。
訪問者数という計り方は別の点で有用だろう。つまり人気度と知名度を考慮した計りに適しているだろう。両者(訪問者数と滞在時間)を適所に使えると良いと思う。
滞在時間の計測ってアメリカのウェブでは偶に見るけれど、日本では使われていないのかな?
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元の論文:Masahiro Morita & Yoichi Shinoda. 1994. Information filterning based on user behavior analyusis and best match text retrieval. Proc. 17th annual ACM SIGIR conf. 272-281.
関連ウェブサイト:
滞在時間の例:balance, mind, body, and soulいちばんしたの「Site Meter」をクリックすると滞在時間(平均だけど)を見れる。
検索キーワード:心理学、認知心理学、ウェブ・デザイン心理学、ソフトウェア心理学、ヒット数、netnews correlation reading subjective rating of interest, 主観的興味深さ, software psychology
グーグルで例えば「ベースボール、カード」などと検索すると、その結果は図のように2列のカラム(行)で表示される。左側のカラムにはインターネットを検索した結果が表示され、右側のカラムには広告料を払っているスポンサーの中で検索文字に関連するウェブが表示される。

この研究者は検索エンジンの利用者が左側のカラムと右側のカラムをどんな比率で利用しているのかを調べた。56人の被験者に検索結果ページを6回使ってもらった。つまり総計330回の検索結果ページが表示された。そのうちの80%は左側のカラムの中の結果を最初にクリックした。反対に右側のカラムを最初にクリックしたのはたったの6%だった。残りの14%はニュースには書いていないけれど何もクリックしなかったのだろう。
この330回の実験の中で、半分に当たる165回の検索結果は実は操作されていた。つまり左側と右側のカラムの内容を入れ替えていたのだ。それにも関わらず、利用者はやはり操作無しの場合と同様の行動を示した。つまり左側のカラムの結果をまずクリックした。
この実験結果よりこの研究者は、検索エンジンの利用者は広告主が関与している検索結果には猜疑的で、クリックには繋がらない、という考察をしている。
基本的には賛成。右側のカラムなんてほとんど見もしないもんな。これは横書き文字(左から右の横書き文字)を見る人間の習性で、目はまず左上を見て、そこから流れに沿って視線を移していくわけだな。検索結果の場合は視線は下に移動していくんで、右側には目が行かない。なんでグーグルが広告を本気で見せようと思うんなら、左側のカラムの中に広告検索結果を紛れ込ませるのが良いだろう。そうなると利用者離れがあるかもしれないけどね。
もう一つの問題は、6%という右側のカラムをクリックした比率の分析の仕方だな。インターネットの商売は、基本的に分母を増やして、その中の1%でも興味を持ってくれればオーケー、みたいなやり方をしている業者も多いよね。なんで右側カラムをクリックした人たちの集団の特徴や動向を知れると面白いだろうな、なんて思ったよ。
そんな人間の習性、統計の分析なんかの仕事を募集してます。
元のニュース:Penn State Live.Consumers suspicious of sponsored links
PDFで論文も読めるみたいだね。PDF
関連する過去記事:しんりの手.新しいアメブロのデザイン
記事中のリンク先:インターネット広告費、今後5年で3倍に(NETAFULLさん)
検索キーワード:心理学 認知心理学、ビジネス心理学、 インターネット・ユーザー google search engines Examining Searcher Perceptions of and Interactions with Sponsored Results Bernard J. Jansen Pennsylvania State University Marc Resnick Florida International University

アメリカでコンピューターを日常的に使う人口は7千5百万人もいる。その半数が長時間使用による疲れをうったえていると言う。それは目の疲れ、目のかすみ、目の乾き、頭痛など。これらはCVS(コンピューターによる視覚疲労:computer vision syndrome)と呼ばれている。
この研究者が勧める症状の軽減方法は、姿勢と目薬と眼鏡だ。姿勢として、座る位置はモニターから60cm、モニターは目線より10cm~20cm下。ときどき人口涙液(普通の目薬か?)を点して、コンピューター用の眼鏡を掛けることだそうだ。
僕も一日平均4時間くらいはコンピューターを使っていて、目が疲れる。本を読むのとは違って、コンピューターやテレビを見るのって本当に目が疲れるんだよね。まばたきも減るし。姿勢はばっちりなんで、目薬は試してみよう。ちなみに3つ目に挙げられている眼鏡というのは、中距離用だそうだ。近視用と遠視用の中間。眼鏡って距離でそんなに使えなくなっちゃうもんなんだな。
このニュースには書いてないけど、まばたきや休息を意識的にすることも大事ってよく言うよな。僕らも心理学の研究で被験者にモニターを見続けるような動作をお願いすることがあるんで気を付けよう。
元のニュース:MediLexicon: Over half USA's regular computer users experience eyestrain, headaches and more